
かつてこの世界にはたくさんの生き物が暮らしていました。しかし環境の変化や様々な要因から、いくつもの種が絶滅しています。
今回はそんな中のとある哺乳類、「ステラーカイギュウ」についての悲しいお話…。
ステラーカイギュウとは海牛目ジュゴン科ステラーカイギュウ属に分類される大型の哺乳類です。見た目はジュゴンやマナティーに似ていますが、体長はなんと7.9メートル、体重は3トンほどにまで成長すると言います!
▼▼▼ステラーカイギュウぬいぐるみ▼▼▼
最初の発見されたのは1741年!
ステラーカイギュウは1741年にベーリング海でロシアのカムチャッカ探検隊により発見されました。
当時、探検隊の船は嵐によって座礁し、探検家であり指揮官のベーリングほか、半数以上の乗組員が他界。残された乗組員たちは船体の部品からボートを作り、なんとか脱出します…。
遭難中に彼らはステラーカイギュウを発見し、貴重な食糧源としました。靴やベルトになるほど丈夫な皮・肉は子牛に似た味と食感・脂肪は甘いアーモンドオイルのような味がしたと言います。
ベーリングの代わりに指揮官となった医師のゲオルク・ヴィルヘルム・シュテラーは帰還後、この時の体験を共有しました。
カイギュウを追うハンターたち…
そんなおいしい話を聞いたハンターや商人たち…黙っているほどお人好しではありません。カイギュウはたちまち彼らに目を付けられ、乱獲が始まってしまいます。
カイギュウたちは身体が大きい分動作が鈍く、人間への警戒心もありませんでした。有効な防御方法を持たず、襲われても海底にうずくまるだけ…。
狩りは容易でしたが、ハンターたちは「運ぶのが大変」という理由でこともあろうに死体を海上に放置。岸に打ち上げられるのを待ちましたが、うち9割はそのまま海の藻屑となったといいます…。
その優しい性格が命取りだった
悲しいコトに、カイギュウは仲間に危害が加えられるとそれを助けるために集まってくる習性があり、ハンターにとっては好都合となってしまったのです。
カイギュウの発見から僅か27年後、カイギュウは絶滅します。最後の記録はハンターの捨て台詞
「まだカイギュウが2、3頭残っていたので、殺した」というもの…。
その後、1962年にカイギュウのような生物の目撃例がありますが、真偽は定かではありません…。
ステラーカイギュウよ、永遠に…
昆布などを食べる草食の心優しき海獣「ステラーカイギュウ」。人々の愚かな行動がなければ、彼らは今も優雅に海を泳いでいたかもしれません。
決して消すことができない人間の罪。生命への感謝を忘れず、一日一日を生きていくことが大切です。
PAPER CRAFT 絶やすのはたやすい消えた動物 ステラーカイギュウJT生命誌研究館は“生きている”を見つめ“生きる”を考えています。生命誌について、研究館の活動について、生命誌から生れた世界観について、ホームページの構成について、館のメンバーの書いた日記についてなどなど是非ご意見をお願いします。引用/JT生命誌研究館(PAPER CRAFT 絶やすのはたやすい消えた動物)
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